第一弾1
A-4 SKYHAWK TOPGUN Version
今回手掛けるのはハセガワ 1/32 A-4E/F SKYHAWK”TOP GUN” です。
組立図によれば、1999年12月リリースの、ある意味記念すべきキットのようです。
飛行機のキットを作るとき、ほとんどはコクピットから手を付けることになります。
このキットは、残念なことに計器盤のデカールが用意されていません。かわりに計器盤や操縦席周りの操作盤はかなり細かく立体再現されています。そこで仕方なく手作業で塗り分けすることにします。
塗り分け方法は企業秘密!
というわけではありませんが、かなりめんどくさい作業となります。
先ずはベースとなる色、今回はライトグレーをスプレー塗装し、次に白浮きさせたい部分を筆塗りします。これはどちらもアクリル系塗料(Mr.カラー)をつかいます。
そのあと黒枠部分を艶消しの黒、計器盤の中を艶ありの黒でぬります。こちらは両色ともエナメル塗料(タミヤカラー)で筆塗りします。
黒塗料が乾いたら白浮きさせたい部分をエナメル系薄め液を浸み込ませた綿棒で慎重に拭き取ります。この時に使う綿棒はベビー用の細いもの、または化粧用の先のとがった綿棒を使うとよいです。どちらも百均で売ってます。
コクピット、ここまでやっても完成したらほとんど見えません。(笑)
さて、次はこのキットの最も問題だったところ。主脚柱に関する致命的問題点
このキットは元々、A-4Eスカイホークのフル装備状態を再現しているため、主脚柱はフルボトム(最も縮んだ)状態となっています。それに引き換えTOPGUNの機体はせいぜい燃料しか積まないので、主脚柱がフルボトム状態になることなど考えられません。
おまけにノーズギア(前脚)はカタパルトで発艦するときの伸び切った状態を再現していると思われます。
ノーズギアは構造が複雑で、これを縮めるのはかなりめんどくさそうです。このため、ノーズギアをこのまま使うとした場合、バランスをとるためには、機体は最軽荷(空荷)状態を再現するしかなさそうです
手持ちのプラ棒や金属パイプでぴったりサイズが無かったので、サイズの合うランナーを探して使うことにしました。
第1回目の公開はここまで。次回、乞う御期待!
【令和元年9月4日更新】
脚の問題が解決したところで機体のくみ上げ!ここでも問題山積でした。
飛行機模型ではあるあるの話ですが、主翼の付け根と胴体の間が少しだけ隙間が開いてしまします。前もって胴体の中にランナーなどを使って幅を広げておけばよかったのですが、仕方がないのでセロファンテープを使って主翼を上にそらせて隙間を埋めました。
機体のあちこち、段差だらけ。地道に修正し続けました。
特に問題だったのが、主翼付け根の機関砲のフェアリングの修正
組み立てずには、簡単に穴を埋めろと書いてありましたが、少々パテ埋めしたところで、とても実機の写真にあるようなきれいなラインにはなりません。
ここは何度もパテ盛りとヤスリがけを繰り返しました。
ちょっと前の米軍ジェット機は、エアインテークの中が白色とそうなので、この機体も、エアインテークを取り付け前に白で塗装し、マスキングします。
機体の組み立てが一応完了したところで、いよいよ塗装に移ります。
この機体は、パッケージの写真で見る限り、ベースとなる色はMr.カラーで言うところのサンディブラウン(組立図では10%白を混ぜるとあります。)です。
組立図どおりのサンディブラウンと白の10:1では、パッケージの写真より、ちょっと濃い目に感じるのですが、国籍マークも機体色と同じ色と判断されることから、デカールの国籍マークと色合いをがなるべく同じに色を調合しました。(これが結構難しい!)
この機体は、サンディブラウン、ダークアース、ダークグリーンの3色迷彩塗装です。
ベース色は前述のとおりサンディブラウンですが、写真をみるとダークアースやダークグリーンの部分も退色した部分にベースのサンディブラウンが浮き出たところが見えます。
このため、今回はウェザリングでこの状態を再現するため、ダークアースやダークグリーンで隠れてしまう部分も含め、機体全体をサンディブラウンでしっかりと塗装しました。
機体全体をサンディブラウンで塗り終わったら、ざっくりダークアースの部分を濃ゆくなり過ぎないように吹き付けます。
実はこのダークアース(組立図ではMr.カラーの#22ダークアースを指定しています。)、実際はタミヤカラーのフラットアース(XF-52)を使用しています。フラットアースを塗ったら、だいたいのラインに沿ってエナメル系であるタミヤカラーのうすめ液を浸した綿棒で余分な部分をぬぐい取っていきます。
アクリル系のサンディブラウンはエナメル系うすめ液にはほとんど溶けませんが、塗膜が薄いとさすがに下地がでてしまうので、サンディブラウンは割としっかり塗っておきました。
フラットアースの部分が完成したら、一旦その部分をMr.カラーのクリア(艶消しを適当に配合したもの)で吹き付けます。こうすることで次のダークグリーンの部分を塗る際に、溶剤で溶けてしまうのを防ぎます。しかし、あんまり厚塗りすると、今回私が狙っているウェザリングの退色感が出せなくなるので、加減がとても難しいです。(実際には何度かやり直しました。)
次に、ダークグリーンの部分(実際にはタミヤカラーのブラックグリーンXF-27を使っています。)も同じように塗っていきます。
機体の塗装が出来上がったら、脚収納部や前縁スラットの中など機体色と違う色を塗る準備をします。
マスキングができたら、それぞれ指定された色で塗ります。
ここで事件です!
エアインテークと機体の繋ぎ目にある横長の6角形の凸部分!
パッケージ写真では、どう見てもそんな凸部分あるように見えない!
気になったので、ネット検索でA-4の写真を検索してみたが、ついに、こんな凸部分がある写真を見つけることはできませんでした。
もちろん天下の長谷川模型、無いものを再現するとは思えないので、多分ベースキットとなっているA-4E/F型には、このような凸起部分を有した機体もあったのでしょう。
しかし、パッケージ写真でそのような凸起部分を認められない以上、これは実機には「無い!」と判断せざるを得ず、従って写実主義者であるオカヒデとしては、この段階に至ってこの凸部分を削り落とす決心をいたしました。
モデラーなら誰でも、塗装済み状態で地肌に手を加える危険性はお分かりいただけると思います。凸起部分を削るのはヤスリやサンドペーパーでゴシゴシするだけですが、問題はその後の再塗装で段差をどう解消するかです。
【令和元年9月7日更新】
ウェザリングの際、最初から気になっていたのがエレベーター付け根のこすれた跡!昔、F-14を作る際、再現したかったけど方法が分からなかった可変翼のこすれ跡と同じような感じ。これは何とかしたい。
しかし今ならその方法は分かります。そこで早速試してみます。
こすれて黒ずんだ部分をマスキングテープで囲って、そのなかを墨入れようの緩々に溶いたタミヤカラーのダークグレーで薄く吹き付け、乾いたらタミヤカラーうすめ液を浸した綿棒で、同心円状にそっとぬぐいます。その過程は残念ながら写真に撮るのを忘れてしまいましたので、完成写真を参照してください。
機体の塗装が一通り済んだら、次はいよいよデカール貼り。
モデラーの方なら誰でもご経験がおありかと思いますが、古いキットのデカールは、ほぼ7~8割の確率で、水に浸すと割れてしまします。
このキットもそこそこ古いので、予め念のため使用しない塗装例のデカールで、割れないか試しました。すると、特に割れなかったので、いよいよ本番。
ところが、本番用デカールを水に浸したところ、割れるデカール出現!なんで?
しかたないので、割れたデカールもだましだましつなぎ合わせて貼りました。
うまい具合に国籍マークのデカールの色調は、ベース色のサンディブラウンとぴったり!
塗装が完了したら、つや消し入りクリアで全体をコーティングします。この後本格的ウェザリングをしますので、ぼかしたい部分や消えては困る部分などを勘案しながら慎重かつ入念にクリアがけします。
クリアがけが終わったら、墨(ゆるゆるのタミヤカラーのダークグレー)塗りたくり!筆で汚したい部分を遠慮なく塗りたくります。通称「墨入れ!」
ここでワンポイント!
私は、墨の濃度は二通りに分けています。背景色が濃い色の場合は濃いダークグレー、背景が薄い場合はやや薄めのダークグレーという具合です。薄いベース色に濃い目の墨だとあまりにも明るい部分が浮いてしまいます。ましてや薄めたフラットブラックなどもっての他だと思います。
私は基本、写実主義なので視覚効果重視の濃い目メークは好きではありません。
墨入れが終わったら、ティッシュや綿棒にタミヤカラーのうすめ液を浸して好きなように汚した部分を拭き取ります。ここはひたすらセンスの問題でしょう!
これで一応完成!本当は主脚柱にブレーキホースを付ける予定だったのですが(このコーナーの最初に一枚目の写真のト書きに「temporally」としていたのは、このためです。今は「temporally」は外しました。)、緒事情で後日装備(大げさな言い方ですが)としました。
ブレーキホース用の銅線が手近かになかったので、後日ブレーキホースを後付けしました。パッケージの写真を見ながらそれらしくやりましたが、なかなか思うようにはいきませんでした。(笑)
ということで、とりあえず完成!ちなみに左上は教え子のドラネコ君(F-14 TOMCAT(TAMIYA 1/32))です。
次回は、タミヤ 1/35 ドイツⅢ号戦車L型を予定しております。